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不動産売却と相続手続き【相続】取引相場のない非上場株式の評価と相続税・納税猶予

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取引相場のない株式の評価方法と評価時期、相続税対策についてまとめました

中小企業の社長さんなどが亡くなった場合は非上場株式(自社の株式)を保有していることが多く、これも相続の対象となります。

相続財産はすべて数値化して評価しなければならないのですが、上場株式と比べて非上場株式は取引相場がなく、評価が難しくなります。

  • 上場していない株はどうやって評価するんだろう?
  • 評価の時期はいつ?

このページでは、取引相場の無い非上場株式を相続した場合について見ていきます。

・手続きが面倒
・期限が迫っているので専門家へ任せたい
・相続のことがよくわからない

上記のかたはこちら
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【相続】取引相場のない株式の評価方法と評価時期

取引相場の無い株式を相続で取得した場合の評価の方法にはいくつかの方式があり、どの方式が適用になるかは多くの要素に左右されます。

評価方法

評価の方式は大きく「原則的評価方式」と「特例的評価方式」に分かれます
■取引相場のない株式の評価方法
原則的評価方式 純資産価額方式 その会社の資産と負債を相続税の評価に改め、負債や評価差額に対する法人税課税等の相当額を控除した残額により評価
類似業種比準方式 その会社の類似の業種を基にして、一株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3つで比準して評価
特例的評価方式 配当還元方式 一年間の配当金を10%の利率で還元して株式を評価

上記のとおり、原則的評価方式には「純資産価額方式」と「類似業種比準方式」があり、「特例的評価方式」は「配当還元方式」という評価法になります。

どの方式が適用になるかは、対象株式の取得者の性質や会社の規模などの判定要素に左右されます
■自分の場合はどの評価方式?
大会社 →類似業種比準方式
小会社 →純資産価額方式
中会社 →大会社と小会社の評価方法を併用
同族株主等以外の株主が取得した株式 →特例的評価方式

大会社・小会社・中会社とは?区分わけはこちら

・類似業種比準方式(大会社)
会社の規模が大きい大会社(主に従業員数が70人以上、売上高15億円以上※業種による)の場合、原則として「類似業種比準方式」によって評価します。

これはその会社の類似の業種を基にして、一株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3つで比準して評価するものです。

※中会社は大会社と小会社の評価方法を併用して評価します
・純資産価額方式(小会社)
規模が小さい小会社(主に従業員数が70人未満、売上高6,000万円未満※業種による)の場合は、原則として純資産価額方式により評価します。

これはその会社の資産と負債を相続税の評価に改め、負債や評価差額に対する法人税課税等の相当額を控除した残額により評価するものです。

・特例的評価方式
特例的評価方式が適用になるのは、株式の取得者に経営支配権の無い、いわゆる同族株主ではない場合です。

この場合は一年間の配当金を10%の利率で還元して株式を評価します。

株式の取得者が支配権の無い同族株主以外の者である場合には、会社の規模などの判定要素を考慮して、原則的評価方式により評価することになります。

株式や不動産などの特定の資産を大量に保有する資産管理会社の場合は通常の類似の業種とは経営の状態が異なるため、大会社であっても類似業種比準方式に従うことは妥当ではないとされています。

→このような場合は「特定会社」として扱われることになります(純資産価額方式によって評価されます)。

国税庁の公式サイトはこちら(No.4638 取引相場のない株式の評価)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm
非上場株式の相続について相談する→相続に関するサポート窓口はこちら※24時間無料で相談できます

評価の時期

株式の評価方法によって、評価の時期が異なります
■取引相場のない株式の評価時期
原則的評価方式 純資産価額方式 原則として相続が発生した時点。(※1)
類似業種比準方式 直前期末のものが採用されます。
特例的評価方式 配当還元方式 1年間の配当金が基準。相続開始前の直前の2期間の平均値を用います。

(※1)ただし、当該時期に仮決算を行っていないため資産や負債の金額が明確でなく、また直前期末から課税時期までに資産や負債に著しい減少が無く評価額の計算に影響が少ない場合は直前期末時点での評価とすることもできます。

相続税や贈与税の納税が猶予される制度があります(非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等)

後継者の負担を減らすため、納税猶予・免除の特例があります

事業承継のハードルを下げるため、相続による後継者の負担を減らす目的で税制上の特例が創設されました(平成30年税制改正で拡充)。

これは、一定の条件を満たすと相続や贈与で取得した株式について、相続税や贈与税の納税が猶予される制度です。

■非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等
H30年度改正 これまで
事前の計画策定等 5年以内の特例承継計画の提出
(平成30年4月1日~平成35年3月31日まで)
不要
適用期限 10年以内の贈与・相続等
(平成30年1月1日~平成39年12月31日まで)
なし
対象株数 全株式 総株式数の最大3分の2まで
納税猶予割合 100% 贈与:100% 相続:80%
承継パターン 複数の株主から最大3人の後継者 複数の株主から1人の後継者
雇用確保条件 維持できない場合も
手続きを経ることで
納税猶予が継続
承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要
事業の継続が困難な
事由が生じた場合の免除
あり なし
相続時精算課税の適用 60歳以上の者から
20歳以上の者への贈与
60歳以上の者から20歳以上の
推定相続人・孫への贈与
H30年度、税制の改正が行われました

都道府県知事の認定を受けた非上場会社の株式を後継者が承継した場合、一定の条件を満たすと非上場株式等納税猶予税額について納税が猶予されることになります。

以前は、納税猶予の対象になる株式は三分の二までで、納税猶予割合も80%。雇用要件として相続後5年間で平均して8割以上の雇用を維持することが条件でした。

これが、制度改正によって2018年1月1日~2027年12月31日までの相続・贈与については対象の株式数の上限がなくなり、議決権株式の全てが対象となり猶予割合も100%となります。

雇用要件についても、維持できなくなった場合でも所定の手続きを経ることで納税猶予が継続して受けられることになりました。

さらに適用対象者が広がり、先代の経営者からだけでなくその配偶者や同族関係者からの贈与も猶予の対象になるなど、幅が拡充することになりました。

国税庁の公式サイトはこちら(No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4148.htm
※税関連は頻繁に改正が入ることもあり、国税庁のサイトは1年程度改正ページの公表が遅れることもあります

非上場株式の相続手続き

株式を相続したときは、名義変更が必要です

非上場会社の株式を相続した場合、その株式の名義変更の手続きをとる必要があります。

株式自体の所有権は相続によって承継されても、会社側が管理する株主名簿の名義を書き換えなければ会社に対しての権利行使ができないからです。

最近は株券が発行されていない会社がほとんどですが、株券が無くとも株主名簿の変更手続きは必要です。

■株式の名義変更に必要な書類
  • 非相続人の戸籍謄本(出生~死亡まで)
  • 株券(発行されている場合)
  • 相続による株式名義書換請求書
  • 新たに株主になる人の株主票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書

非上場株式を相続放棄したいとき

株式だけを相続放棄することはできません

死去した方(被相続人)の持つ土地や建物の所有権や預金、株等の財産や借金などの遺産を「一切引き継がない」ことを「相続の放棄」といいます。

非上場会社の株式を相続放棄する場合は、当該株式だけを放棄することはできず、もし放棄したいのであれば他の相続財産も全て合わせて放棄しなければならなくなります

■相続放棄したいとき
相続開始から3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをとります。
相続放棄の手続きと必要書類はこちら

「相続放棄はしたくないけれども株式だけが要らない」というときは、会社と交渉すれば買い取りに応じてくれることも十分考えられます。

※絆が強い同族関係者で運営することも多い中小企業では、経営に関心が無かったり、悪い影響を及ぼしそうな株主が関係してくることを嫌う傾向があります

相続税の対策はある?

株の評価額を下げると、相続税の負担を減らすことができます

普通は「自社の株が上がる」というのは嬉しいことです。が、相続では株の評価額が上がれば上がるほど相続財産が増えることになるので、相続税の負担が増します

取引相場のない非上場株式は市場での売り買いはないので、株の評価額を下げることで相続税の負担を減らすことができます。

前提として自社株対策は顧問税理士と相談しながら総合的に進めていく必要がありますが、株の評価額を下げるためにどのような方法が一般的に考えられるか見ていきます。

■株の評価額を下げるには?
原則的評価方式 純資産価額方式 不動産など時価と相続税評価額に差がある資産を購入したり、損金算入が可能な役員退職金を利用して利益を圧縮するなどの対策が考えられます。
類似業種比準方式 配当金を引き下げたり、分社化を行って類似業種の株価が低い業種に転換するなどの方法が考えられます。
特例的評価方式 配当還元方式 配当を引き下げたり、「記念配当」などを行って株価対策とすることができます。

一般的に、純資産価額方式は類似業種比準方式よりも高い評価になります

純資産価額方式により評価される特定会社に該当する会社は、特定会社を脱するために、保有する株式や不動産など特定の資産の割合を低下させることを検討します。

※株式の相続対策は会社経営が絡むことですから多角的な目線で進める必要があります。
顧問税理士の他、必要に応じて経営アドバイザーや顧問弁護士などと相談して総合的に判断しましょう。

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■大会社・小会社・中会社の区分は?(財産評価基本通達178)
規模区分 区分の内容 総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数 直前期末以前1年間における取引金額
大会社 従業員数が70人以上の会社又は右のいずれかに該当する会社 卸売業 20億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く) 30億円以上
小売・サービス業 15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く) 20億円以上
卸売業、小売・サービス業以外 15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) 15億円以上
中会社 従業員数が70人未満の会社で右のいずれかに該当する会社(大会社に該当する場合を除く) 卸売業 7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) 2億円以上30億円未満
小売・サービス業 4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) 6,000万円以上20億円未満
卸売業、小売・サービス業以外 5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) 8,000万円以上15億円未満
小会社 従業員数が70人未満の会社で右のいずれにも該当する会社 卸売業 7,000万円未満又は従業員数が5人以下 2億円未満
小売・サービス業 4,000万円未満又は従業員数が5人以下 6,000万円未満
卸売業、小売・サービス業以外 5,000万円未満又は従業員数が5人以下 8,000万円未満

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