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不動産売却と相続手続き【遺留分滅殺請求とは】計算方法と手続き・時効

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相続人が必ず受け取れる、遺産の「遺留分(いりゅうぶん)」。
遺留分の計算方法と請求方法をまとめました

「遺言書」は、ただの手紙ではなく相続財産の分配方法などを指定することができる書面です。

被相続人は本心に従って自由に遺産の分配を考えることができ、遺言に遺すことができますが…死後それを親族が確認したときに、

  • 遺言書に自分の名前がなかった
  • 遺言書に全くの他人の名前が書かれていた
  • 遺言書の内容が遺留分を侵害している

このように、遺言にかかれた自分の遺産の取り分があまりに少ない・まったく無いと、残された者も生活していかなければならないので困ってしまうことになります。

そんな場合に対応できるよう、相続人に認められる最低限の遺産の取り分=「遺留分(いりゅうぶん)」が定められています。

このページでは、遺留分を持つ人・取り分はどのくらいなのか?計算と請求の方法、時効など遺留分滅殺請求について解説しています。

・手続きが面倒
・期限が迫っているので専門家へ任せたい
・相続のことがよくわからない

上記のかたはこちら
相続、誰に相談する?相談窓口早見表とかかる費用
相続に関するサポート窓口はこちら※24時間無料で相談できます

法定相続人は最低限度の取り分が確保されている

「遺留分」とは、相続人に認められる最低限の遺産の取り分のこと。

法定相続人のうち「配偶者」と「子(代襲相続人を含む)」、及び「直系尊属」にその権利があります。

遺留分の権利を持つ人 配偶者・子(代襲相続人を含む)及び直系尊属
兄弟姉妹や相続放棄をした者には遺留分はありません

遺留分の権利を持つ相続人(配偶者・子・親)

遺留分の権利をもつのは配偶者・子・直系尊属のみ。

下記は法定相続人と優先順位を図にしたもの。

法定相続人になる人と優先順位の図解

遺留分の権利があるのは上記の表の第1順位の子(代襲相続人)と第2順位の直系尊属のみとなっていて、第3順位の兄弟姉妹に遺留分はありません

遺留分は遺族の生活保障という意味合いが強いので、通常独立して生活を営んでいるとみられる兄弟姉妹には遺留分は不要、というのが法のスタンスになっています。

遺留分は請求をしなければ取り戻せない

自分の取り分を得るには、請求を行う必要があります

遺留分というのはあくまで権利であって、権利を行使しなければ遺留分を取り戻すことはできません。

取り戻したい場合には、他の共同相続人等に対して「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」を行う必要があります。

遺留分滅殺請求の計算

遺留分てどのくらい? 相続人全体で、相続財産の2分の1
(相続人が直系尊属のみの場合は3分の1)

遺留分の計算は遺留分権利者が誰になるかで変わってきます。
相続人全体で1/2、相続人が直系尊属のみの場合は1/3が遺留分となります。

遺留分はどのくらい?解説図

相続人の組み合わせ別に、遺留分の割合を下記にまとめました。

相続人が配偶者のみのときの遺留分の割合 解説図

相続人が配偶者と子の場合の遺留分の割合 解説図

相続人が配偶者と親の場合の遺留分割合 解説図

相続人が子のみの場合の遺留分割合 解説図

相続人が親のみの場合の遺留分割合 解説図

具体的な計算方法

自分の取り分を得るには、請求を行う必要があります

相続財産の2分の1が遺留分、これは遺留分の権利がある全員に割り当てられた取り分です。

遺留分の権利をもつ者が複数いる場合には、遺留分をその複数人の相続人で分け合うかたちになります。

配偶者と子ども2人が相続人のときの遺留分のわけかた 解説図

子ども2人が相続人のときの遺留分のわけかた 解説図

■遺産の総額が2,000万円の場合
【相続人】配偶者と子ども2人のとき
・配偶者 2,000万円×1/4=500万円
・子ども① 2,000万円×1/8=250万円
・子ども② 2,000万円×1/8=250万円
【相続人】子ども2人のとき
・子ども① 2,000万円×1/4=500万円
・子ども② 2,000万円×1/4=500万円

利益や債務は加減されます

ただし相続や遺贈、あるいは特別受益などで利益を得ている場合は、その分減算しなければならないことになっています。

逆に被相続人の債務も承継し負担を負っている場合は、その分は加算されます。

計算式にすると以下のようになります。

遺留分侵害額=「個別の遺留分」-「相続や遺贈で得た財産」-「特別受益」+「相続する債務額」

この計算の結果遺留分侵害額の数字が0かマイナスになるようであれば、遺留分を超える財産をすでに得ているので、取り戻せる遺留分は存在しないことになります。

請求手続きの方法

内容証明郵便を利用して意思表示をします

遺留分減殺請求を行うには、遺留分を侵害している者(遺留分を承継した他の相続人等)に対して意思表示をすることで行うこととされています。

法律上は意思を伝えれば良い、となっているのですが、実務上は証拠を残すために内容証明郵便を使って行うことになります。

請求したという事実を残すことで相手方に「そんな請求は受けていない」と言わせないためと、時効の問題が絡んでくるためです。
(時効についてはこちら)

意思表示をしたあと、この請求に相手が応じない場合は裁判所を利用した調停で話し合うことになり、それでも話がまとまらない場合は最終的に裁判によって結着をつけるしかありません。

遺留分減殺請求のながれ

遺留分減殺請求のながれ 解説図

■内容証明郵便とは?
郵便局で発送手続きを行います。郵便局と自分の手元に、相手に送った書類と同じ内容の控えが残ります。
合わせて発送手続きをした日付も記入されるので、遺留分減殺請求をしたことが確実に証明できます。
(費用:1,000~2,000円)
■書類はどうやってつくるの?
自分で作成することもできますが、まず遺留分の計算をしなければならないこと、さらに交渉が決裂したあとのことを考えると弁護士へ依頼すると安心です。
(→遺留分の減殺請求について専門家に相談する※24時間無料で相談できます)
内容証明郵便を作成するには、3万円程度の手数料がかかります。

遺留分減殺請求書の作成例

遺留分減殺請求書

私は被相続人____の法定相続人であり、____の遺留分の権利があります。

この度、_年_月_日に作成された被相続人による遺言により、私の遺留分が侵害されたため、民法第1031条に基づき、本通知書をもって、貴殿に対し遺留分の減殺請求を致します。

文書が到着されてから_日以内に、貴殿が相続した___円のうち、私の遺留分である___円を、下記口座あてに振込送金する方法にてご返還を宜しくお願い致します。

平成_年_月_日

返還先口座_____

通知人(住所・氏名)

被通知人(住所・氏名)

遺留分滅殺請求の時効と起算点

時効に注意。遺留分を請求できるのは「知った日から1年間」です

遺留分は権利であって、遺留分減殺請求を行わなければ取り戻すことができないのですが、その権利はいつまでも無限に認められるわけではなく、「時効」が定められていて請求できる期間には期限があります

遺留分減殺請求の期限には二種類あります。

本来の時効として「1年」

原則として、相続が起きたことを知り、且つ減殺されるべき贈与や遺贈などがあったことを知った日から1年経つと遺留分減殺請求ができなくなります。

これが本来の時効ですが、もう一つ強制的に期限を区切る除斥期間があります。

除斥期間として「10年」

上記の時効では、遺留分権利者が被相続人の死亡による相続の開始だけではなく、減殺されるべき遺贈や贈与などがあったことも知らなければ時効が進みません。

これは遺留分権利者の利益の保護のためなのですが、無限に認めてしまうと権利関係がいつまでも不安定な状態が続いてしまう、ということになります。

そこで、一定期間で強制的に期限を区切ってしまうのが除斥期間で、相続開始から10年経った場合は問答無用で遺留分減殺請求ができなくなることになっています。

相続開始前の一年間にあった生前贈与は遺留分滅殺請求の対象

生前にあった贈与も遺留分の対象に含まれるので、請求できる

遺留分の対象となる財産は「遺留分の基礎財産」などと表現しますが、これには被相続人が残した相続財産だけでなく、生前に贈与された財産なども対象になります

基本的には相続開始前の1年間にされた生前贈与は基礎財産に組み込まれ、遺留分減殺請求の対象に入りますが、1年より前にされた贈与も贈与契約の当事者が遺留分権利者の権利を侵害することを知っていた場合は同じく遺留分減殺請求の対象になります。

不当に安い価格で、生前財産を譲渡していた場合も請求の対象になる

不当に安い価格で財産を譲渡するなど「不相当な対価による有償行為」があり、取引をした当事者が遺留分権利者の権利を害することを知っていた場合、適正額との差額が贈与とみなされて同請求の対象になります。

また、過去の判例から「特別受益」にあたる生前贈与は、それがなされた時期に関わらず原則として基礎財産に組み込まれ同請求の対象になります。

■特別受益財産の範囲
・特別受益に当たらないもの→婚姻のために支出してもらった費用、借家の場合の借地権の設定・承認、生命保険金、死亡退職金
・特別受益の対象となり得るもの→自宅建築のための土地建物資金援助、不動産の贈与、生活費名目としては多額すぎる贈与

※この基礎財産からは、被相続人が残した負債額は控除して計算することになります

遺留分の放棄

本人の意志があれば生前の放棄は可能。相続開始後は必要ありません

遺留分は権利者の生活の原資となるなど大切な役割があるものですが、被相続人となる者が生存中に、つまり相続発生前に遺留分の権利を放棄することも可能です。

他の共同相続人となる予定の者から無理強いされて放棄させられる可能性もあるので、事前に遺留分の権利を放棄するには家庭裁判所に認めてもらう必要があり、裁判所による厳しいチェックを経なければ遺留分を事前に放棄することはできないことになっています。

申立人 遺留分を放棄する人
手続き先 被相続人となる予定の者の住所を管轄する家庭裁判所
裁判所の管轄区域はこちら(裁判所HP)

遺留分の放棄は本人がその自由意思に基づいて希望しているということと、合理的な理由があることが確認できなければ許可が下りません。

また、遺留分を放棄する見返りに相当の経済的な対価を受け取ることができるかも重要なチェックポイントとなっています。

遺留分放棄の申立は、放棄する本人が申述します

例えば被相続人となる者が、

「長男にはすでに十分な経済的援助を与えているので、遺産は二男に多く残してやりたい。
だから長男に遺留分を放棄してもらいたい」

と考えいた場合、長男を説得して長男自身に家庭裁判所で手続きをしてもらう必要があります。

その際には被相続人となる者の願いを受けて、これを長男が自分の意思に換えて申述します。

「申立人はすでに多額の援助を受けており、生活にも不安が無いので遺留分が無くても困ることはなく、よって遺留分を放棄したいと考えます」

以上のように、申立人自身の考えとして申述し裁判所を納得させなければなりません。

裁判所が一度遺留分の放棄を認めた場合は原則として取り消すことはできないので、遺留分の放棄はよくよく考えたうえで行う必要があります。

相続開始後は遺留分の放棄は必要ない

相続開始後は遺留分の放棄は自由に行え、裁判所の関与もありません。

遺留分は遺留分減殺請求をしなければ良いので、本人が納得しているのであれば何もしなければ良いだけです。

他の共同相続人がどうしても確約を取りたいと願う場合は、遺留分を放棄する旨を記載した申し入れ書などを作成して交付することもできます。

相続税の申告

申告・納付期限は10ヶ月以内と決められています。遺留分の確定後に、修正や更生で対応を

遺留分が問題になる相続のケースは、利害関係者間の意思疎通や手続き上の問題でしばらくの間当事者の権利関係が確定しない状態が続きます。

ただその一方で、相続税の税務処理の面では申告・納付期限が相続開始から10か月以内と定められています。

この申告期限はたとえ関係者間で遺留分の扱いが確定していなくとも伸びることはなく、遺留分の扱いが確定しないなくとも、一旦遺留分については無視して相続税の税務処理を行い、必要であれば納税しなければなりません

遺留分減殺請求を受けた側

遺留分が確定したあと、遺留分減殺請求を受けた側は相続財産が減少することになるので、その分相続税額が減少する場合は「更正の請求」を行うことで納め過ぎたことになる分を還付してもらうことができます

遺留分を取り戻した側

遺留分を取り戻した側はその分相続財産が増えることになるので、納めるべき相続税の額が増えた、あるいは新たに相続税の支払いが必要になったら「修正申告」を行って対処することになります。

必要な修正申告をしないでいると無申告加算税といったペナルティの対象になってしまうので、忘れないで手続きをするよう注意が必要です。

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