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ケース別売却ノウハウ【親名義の不動産】売却方法、認知症など痴呆の場合は?

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親名義の不動産を売却するには

親名義の家や土地、マンションなどの不動産を売りたいという理由には様々な背景があるかと思います。

  • 1.あの土地使って無いみたいだし売って現金化できないかな
  • 2.親に代わりに売ってと頼まれた
  • 3.子どもがすぐに現金が必要(親もあげたい意思あり)
  • 4.親が認知症になってしまった

(関連記事:売却・贈与・相続 どれが得か?

このページではそれぞれのパターンについて最適な方法を考えていきます。

1.あの土地使って無いみたいだし売って現金化できないかな

子どもが勝手に売却することはできません

親名義の不動産を売却するときには、必ず名義人の方が同意していなければなりません。例え家族であっても子どもが勝手に手続きをして売却することはできません。

親名義の不動産売却に必要なもの

  • 名義人の実印
  • 名義人の印鑑証明
  • 名義人の身分証明書
  • 名義人の住民票

その他用意しておくもの→【不動産売却の準備・必要な書類】

親の実印の場所を知っていたり、印鑑証明や住民票は本人でなくても手に入りますが、親の承諾なしに勝手に書類を用意して売買取引を行えば違法となります。また、取引の際には必ず名義人の親本人が同席する必要があります。

じゃあ親名義→子ども名義に変更すればいい?

確かに名義を変更すれば、新たな名義人となった人が自由に不動産売買が出来ます(もちろん勝手に名義を変更することはできず、名義人の同意が必要です)。ただし親から子供への不動産名義の変更は、例え親子であってもタダで自由にあげたり貰ったり出来る訳ではありません。

親子間であっても、名義を変更する時は「売買」か「贈与」のどちらかを選択する必要があります。

親子であってもただで名義変更はできない

1.売買

他人に売買するときと同様に、親子間で金銭授受を伴う売買取引を行えば名義が変更できます。この際土地の価格は必ず相場と同等の値段で取引しなければならず、もし時価とかけ離れた金額(とても安い金額)で売買を行えば親から子への贈与とみなされ、贈与税の対象になります。

2.贈与

贈与とは、資産を無償で人にあげることを言い、年間110万円以上の贈与があったときは贈与税を納めなければいけません。贈与税は、親の死去後に財産を相続した時に納める相続税と比べると、税率が圧倒的に高く設定されています。

贈与税率は最低でも10%、1,000万円超の資産贈与では50%もの税金がかかります。このような時には、一般的に2,500万円までは贈与税がかからずに済む「相続時精算課税制度」を使うのが良いとされています。
贈与税の税率や相続時精算課税制度について詳しくはこちら→売却・贈与・相続 どれが得か?

2.親に代わりに売ってと頼まれた

この場合は親の同意が得られているので、不動産会社選びや立ち合い、買主からの質問の受け答えなどは子どもが代行しても構いません。実際親名義の土地売却にあたって、親に代わって子どもが不動産屋を探したり、書類準備や手続き、立ち合いなどを代行することはよくあることです。

但し実際の契約時と決済取引の日は、必ず名義人である親が一緒に同席する必要があります。押印も名義人本人が行わなければいけません。

不動産屋や銀行へ親が行くことが困難な場合は、相談して契約取引の場を家にしてもらうことも可能です。
【不動産売却の流れ】契約取引の注意点

3.子どもがすぐに現金が必要(親もあげたい意思あり)

子どもが現金が必要で、親がその為に土地を売却して現金を用意してあげる場合、年間110万円までは非課税です。それを超えて贈与をしたいときは、下記のような制度を使うことができます。

相続時精算課税制度

この制度は、65歳以上の親から20歳以下の子どもへの贈与について、2,500万円の控除が使えるものです。

※平成27年1月1日~65歳以上→60歳以上に範囲が拡大されます
※その贈与は相続時に精算されます。詳しくはこちら→売却・贈与・相続 どれが得なのか?

住宅資金贈与の特例

子どもや孫が住宅を取得するために、両親や祖父母などの直系親族から資金を受け取ったときは贈与税の軽減措置があります。

年度によって非課税となる金額が異なり、平成26年は最大1,000万円までが非課税となっています。

適用要件
  • 次のいずれかに該当する者であること
    ・贈与を受けたときに、日本国内に住所を有する
    ・贈与を受けたときに、日本国籍を有し、かつ、受贈者か贈与者がその贈与の前5年以内に、日本国内に住所を有したことがある
    ・贈与を受けたときに、贈与者が日本国内に住所を有する
  • 贈与を受けたときに、贈与者の直系卑属であること
  • 贈与を受けた都市の1月1日において、20歳以上であること
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること

4.親が認知症になってしまった

近年、親が認知症などの痴呆のため施設に入所するので、親名義の不動産を売ってその資金に充てたい、という場合が多くなっています。

基本的に、名義人本人の売却の意思が確認できなければ不動産を売却することはできません。ただ名義人本人が認知症であれば、本人に判断能力が無いとされ売却の意思を確認できません。

そのような場合は、成年後見人等の申し立てを行うことで、本人に代わって不動産売却が出来るようになります。この制度を利用して、不動産を売却し得たお金の使い道は「名義人本人のために使うこと」、と定められています。

親が認知症の場合、成年後見制度を利用します

成年後見制度の利用の仕方

成年後見制度とは、判断力が十分でない成年者に対して後見人を選定し、後見人がつくことで本人に代わって財産管理や介護施設入所への契約、遺産分割の協議などを行うことができるようになります。

後見人になれる人
  • 親族
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 社会福祉士
  • 法人
後見人選定から不動産売却までの流れ

申し立てから審判の確定、法定後見の開始まで通常3~4か月の時間がかかります。

  • 1.本人の住所地の家庭裁判所に成年後見制度開始の審判を申し立てる
  • 2.裁判所から依頼された医師が本人の意思能力を評価する
  • 3.後見人の選定、審判の確定
  • 4.不動産業者と契約、買主を探す
  • 5.成年後見人が本人に代わり買主と売買契約を結ぶ
  • 6.家庭裁判所の許可を得る (買主の名前や売買金額、売却した資金の使い道など明確な記載が必要です)
  • 7.家庭裁判所から許可がおりれば売買代金の精算、所有権移転の登記が行われます

※成年後見制度の申し立てを行えるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官等です。
※本人の能力によって、後見・保佐・補助の3つの分類があります。

申立に必要なもの
  • 申立書(家庭裁判所に備えてあります)
  • 戸籍謄本
  • 後見登記事項証明書(法務局で取得)
  • 申し立て手数料 800円
  • 通信用切手
  • 登記手数料 2,600円

本人の判断能力の程度を鑑定するため、医師による鑑定料が必要になることもあります。鑑定料は約7~9万円が相場となっています。

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