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不動産売却と相続手続き【相続税の延納とは】条件・物納との差は?

5分でわかる!相続税の延納とは?

相続税額が10万円を超え支払いが困難なとき、
年賦で納付をすることができる制度

相続税は、原則では10ヶ月以内に現金一括納付です。ただ、支払いが難しい人の事を考慮し「延納(えんのう)」という制度が設けられています。

延納では相続税を分割して支払うことができ、最高20年まで支払い期限を延長することができます。

延納と売却して相続税を支払うのはどちらが得か?

※相続税の支払いが困難な場合、延納以外に下記の方法があります。

延納で相続税を納税するまでの手続きと流れ

相続税 延納の流れ 申請から許可・納付までの解説図

※納期限=物納申請の期限
※年数は最長の期間。もちろん1年で返済してもOKですし、繰り上げ返済も可能です。

延納できる期間と延納でかかる利子税

延納した相続税額分には、利子税がかかります。

銀行から借入れた方が利子が安い場合も

利子税率
相続財産のうち
不動産等の割合
区分 延納期間
(最高)
延納利子税割合
(年割合)
特例割合
(年割合)
75%以上 ①動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.4%
②不動産等に係る延納相続税額(③を除く) 20年 3.6% 0.9%
③計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木に係る延納相続税額 1.2% 0.3%
50%以上
75%未満
④動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.4%
⑤不動産等に係る延納相続税額(⑥を除く) 15年 3.6% 0.9%
⑥計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木に係る延納相続税額 20年 1.2% 0.3%
50%未満 ⑦一般の延納相続税額(⑧、⑨及び⑩を除く) 5年 6.0% 1.5%
⑧立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(⑩を除く) 4.8% 1.2%
⑨特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額 4.2% 1.0%
⑩計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木に係る延納相続税額 1.2% 0.3%

※H26.1.1現在の「延納特例基準割合」1.9%で計算。割合が変更になれば上記の「特例割合」も変更になります。
※延納税額が150万円未満の場合(上記②、③及び⑥に該当する場合は200万円)は、「延納税額÷10万円」で算出される数字が延納期間となります。1未満の端数は切り上げます。

銀行に上記より低い利子で借り入れができる場合はその方が有利です。

延納特例基準割合が7.3%に満たない場合←現代では普通は満たないです

?延納特例基準割合とは
その分納期間の属する年の、全々年の10月から前年9月までの各月における、銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合。
平成26年1月1日現在の延納特例基準割合は1.9%です。

下記の算式により計算される割合が適用されます(上記表の一番右「特例割合」にすでに計算したものを記載しています)。現在銀行の短期貸出金利平均が7.3%を超えることなどないため、法定延納利子税率よりも低い、下記の式で算出される割合が現在の延納時の利子税率ということになります。

「延納利子税割合」×(「延納特例基準割合」÷「7.3%」)
※0.1%未満の端数は切り捨て

利子税の計算方法

(納付すべき相続税額×利子税の割合×期間(日数))÷365=利子税の額

※税額が1万円未満の場合は利子税を納付する必要はありません。
※計算した利子税の額が千円未満の場合は納付する必要はありません(千円以上の場合、100円未満の端数を切り捨て)。

1.延納できるか確認

延納の条件

延納には下記条件があります。

  • 相続税額が10万円を超えていること
  • 金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
  • 延納税額に相当する担保を提供すること
    ※延納税額50万円未満(平成27年4月1日以後提出の際は100万円未満)でかつ延納期間が3年以下の場合は必要なし
  • 「延納申請書」及び「担保提供申請書」を期限(相続発生から10ヶ月以内)までに提出すること

延納できる金額(許可限度額)の計算

延納できる金額は、現金で納付することが困難な金額の範囲内でしか認められません。金銭納付を困難とする額は、下記のとおり計算されます。

① 納付すべき相続税額
② 納期限において有する現金、預貯金その他の換価が容易な財産の価額に相当する金額
③ 申請者及び生計を一にする配偶者その他の親族の3ヶ月分の生活費
④ 申請者の事業の継続のために当面(1ヶ月分)必要な運転資金(経費等)の額
⑤ 納期限に金銭で納付することが可能な金額(これを現金納付額という)(②-③-④)
延納許可限度額=(①-⑤)

生活費の計算では、申請者本人が月10万円、配偶者その他の親族は1人につき月4万5千円で計算し、その額に所得税や地方税などを足して算出する書式となっています(平成26年12月現在)。
申請書はこちら→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/enno-butsuno/pdf/2601t01.pdf

2.延納担保の選定

延納では延納税額に相当する担保を提供することが条件となっています。

※延納税額50万円未満(平成27年4月1日以後提出の際は100万円未満)でかつ延納期間が3年以下の場合は必要なし

担保の条件

売却できる見込みのないものや、所有権の争いのある財産、違法建築物件などは担保として不適格とされます。

  • 担保として提供できる財産の種類であること
  • 担保として不適格な事由がないこと
  • 必要担保額を充足していること
担保として提供できる財産の種類
  • 1.国債及び地方債
  • 2.社債
  • 3.土地
  • 4.建物・船舶・自動車 等
延納に必要な担保額の計算

担保財産の見積価額>延納税額+第1回目の分納税額の利子税の額×3

担保財産の見積価額

担保の見積価額は時価が基準です。

土地:時価の8割以内において適当と認める金額
建物:時価の7割において担保提供期間中に予想される価額の消耗等を考慮した金額

が見積価額となります。

3.延納申請書の提出と期限延長

延納金額の算定と担保財産が決まったら、納期限までに物納申請書を提出します。納期限は相続開始の日(非相続人が死去した日)から10ヶ月後です。提出期限に遅れて提出された延納申請は却下されるため、提出期限には十分注意が必要です。

関係書類の提出が期限内にできないときは、1回につき3ヶ月を限度とし、最長6ヵ月まで提出期限を延長できます。

必要書類

申請書関連
・相続税延納申請書
・各種確約書
・金銭納付を困難とする理由書
・延納申請書別紙(担保目録及び担保提供書)
・不動産等の財産の明細書
・担保提供関係書類
・担保提供関係書類が提出できない場合は「担保提供関係書類提出期限延長届出書」
担保提供関係書類
(担保が不動産の場合)
・登記事項証明書
・固定資産税評価証明書
・抵当権設定登記承諾書
・印鑑証明書 等、担保財産の種類に応じて異なる

4.延納の審査

通常3ヶ月以内に物納許可・却下の結果が出ます

延納申請書の内容に問題がなく、担保財産も適当であると判断された場合には延納が許可され「相続税延納許可通知書」が送付されてきます。この通知書には分納期限と分納税額が記載されています。

延納が却下された場合は「相続税延納却下通知書」の送付により通知されます。延納が却下された相続税は現金一括納付が求められます。この際に納付期限を過ぎているときは、利子税・延滞税がかかります。

延納と売却して相続税を支払うのはどちらが得か?

相続税の延納件数は、相続税の物納と同じく年々減少傾向にあり、現代では多くの方が延納ではなく、不動産を売却し現金での納税を選択しています。

相続税の延納処理状況件数

延納して利子税を加算されながらも相続税を支払っていく場合と、不動産を売却したお金で相続税を支払う場合と、どちらが特か?どのくらい金額に差があるのかどうか?を詳しく見ていきましょう。

延納と売却、それぞれのメリット・デメリット

メリット デメリット
延納
  • 分割して相続税を支払えるので、負担が少ない
  • 利子税がかかる
  • 延納が却下された場合、納付期間を過ぎた期間には利子税・延滞税がかかってしまう
売却
  • 通常相続税評価額(路線価)より売却額の方が高いので、納税しても手元に資産が残る可能性が高い
  • 売却すると所得税がかかるが、相続した不動産を売却したときの減税制度がある
  • 速やかに売却でき納期限に間に合えば、滞納税も利子税もいらない
  • 相続が発生してから10ヶ月の間に決済まで完了しなければならない
  • 売却の決済が納期限までに間に合わないと滞納したことによる税金が増える

まずは査定を。→利子税と比較して判断

まずは不動産の査定額と、利子税を知ることから!

延納が得か、売却が得か、という計算ではまず手持ちの不動産が一体市場ではいくらで売れるのか?ということが分からなければ計算できません。

まずは不動産屋へ査定をしてもらうことから始めます。

不動産の査定価格は不動産業者により大きく異なる
同じ物件でも・・・
不動産屋A 不動産屋B 不動産屋C
6,200万円 6,900万円 7,100万円

同じ住所同じ土地でも、業者により得意物件が異なるため査定価格も大きく変わります。また、物件の相場をつかむ・複数の担当者と話し市場の反応がわかる、という事から考えても1社に査定してもらうのではなく、必ず複数の不動産屋からの査定を受けることが重要です。
複数の不動産仲介業者への査定はこちらからできます。

利子税の計算

次に利子税と比較してみます。

注意点
・H26.1.1現在の「延納特例基準割合」1.9%で計算。割合が変更になれば下記利子の額も変更になります。
・毎年延納特例基準割合は変更されるため、2年目以降の支払額はそれにより変動します。
・上記理由より、あくまで現在の金利が続いた場合の金額として、参考程度にご覧頂ければと思います。
不動産割合が50%未満の場合:不動産等に係る延納相続税利子税率=1.5%(H26.1.1現在)
延納する相続税額 延納期間(最長5年)中の返済額例 支払合計額
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
2,000,000 430,000 424,000 418,000 412,000 406,000 2,090,000
5,000,000 1,075,000 1,060,000 1,045,000 1,030,000 1,015,000 5,225,000
8,000,000 1,720,000 1,696,000 1,672,000 1,648,000 1,624,000 8,360,000
10,000,000 2,150,000 2,120,000 2,090,000 2,060,000 2,030,000 10,450,000
20,000,000 4,300,000 4,240,000 4,180,000 4,120,000 4,060,000 20,900,000
30,000,000 6,450,000 6,360,000 6,270,000 6,180,000 6,090,000 31,350,000
40,000,000 8,600,000 8,480,000 8,360,000 8,240,000 8,120,000 41,800,000
50,000,000 10,750,000 10,600,000 10,450,000 10,300,000 10,150,000 52,250,000
不動産割合が50%以上75%未満の場合:不動産等に係る延納相続税利子税率=0.9%(H26.1.1現在)
延納する相続税額 延納期間(最長15年)中の返済額例
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目
2,000,000 151,333 150,133 148,933 147,733 146,533 145,333 144,133 142,933
5,000,000 378,333 375,333 372,333 369,333 366,333 363,333 360,333 357,333
8,000,000 605,333 600,533 595,733 590,933 586,133 581,333 576,533 571,733
10,000,000 756,667 750,667 744,667 738,667 732,667 726,667 720,667 714,667
20,000,000 1,513,333 1,501,333 1,489,333 1,477,333 1,465,333 1,453,333 1,441,333 1,429,333
30,000,000 2,270,000 2,252,000 2,234,000 2,216,000 2,198,000 2,180,000 2,162,000 2,144,000
40,000,000 3,026,667 3,002,667 2,978,667 2,954,667 2,930,667 2,906,667 2,882,667 2,858,667
50,000,000 3,783,333 3,753,333 3,723,333 3,693,333 3,663,333 3,633,333 3,603,333 3,573,333
延納する相続税額 延納期間(最長15年)中の返済額例 支払合計額
9年目 10年目 11年目 12年目 13年目 14年目 15年目
2,000,000 141,733 140,533 139,333 138,133 136,933 135,733 134,533 2,144,000
5,000,000 354,333 351,333 348,333 345,333 342,333 339,333 336,333 5,360,000
8,000,000 566,933 562,133 557,333 552,533 547,733 542,933 538,133 8,576,000
10,000,000 708,667 702,667 696,667 690,667 684,667 678,667 672,667 10,720,000
20,000,000 1,417,333 1,405,333 1,393,333 1,381,333 1,369,333 1,357,333 1,345,333 21,440,000
30,000,000 2,126,000 2,108,000 2,090,000 2,072,000 2,054,000 2,036,000 2,018,000 32,160,000
40,000,000 2,834,667 2,810,667 2,786,667 2,762,667 2,738,667 2,714,667 2,690,667 42,880,000
50,000,000 3,543,333 3,513,333 3,483,333 3,453,333 3,423,333 3,393,333 3,363,333 53,600,000
不動産割合が75%以上の場合:不動産等に係る延納相続税利子税率=0.9%(H26.1.1現在)
延納する相続税額 延納期間(最長20年)中の返済額例
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目
2,000,000 118,000 117,100 116,200 115,300 114,400 113,500 112,600 111,700 110,800 109,900
5,000,000 295,000 292,750 290,500 288,250 286,000 283,750 281,500 279,250 277,000 274,750
8,000,000 472,000 468,400 464,800 461,200 457,600 454,000 450,400 446,800 443,200 439,600
10,000,000 590,000 585,500 581,000 576,500 572,000 567,500 563,000 558,500 554,000 549,500
20,000,000 1,180,000 1,171,000 1,162,000 1,153,000 1,144,000 1,135,000 1,126,000 1,117,000 1,108,000 1,099,000
30,000,000 1,770,000 1,756,500 1,743,000 1,729,500 1,716,000 1,702,500 1,689,000 1,675,500 1,662,000 1,648,500
40,000,000 2,360,000 2,342,000 2,324,000 2,306,000 2,288,000 2,270,000 2,252,000 2,234,000 2,216,000 2,198,000
50,000,000 2,950,000 2,927,500 2,905,000 2,882,500 2,860,000 2,837,500 2,815,000 2,792,500 2,770,000 2,747,500
延納する相続税額 延納期間(最長20年)中の返済額例 支払合計額
11年目 12年目 13年目 14年目 15年目 16年目 17年目 18年目 19年目 20年目
2,000,000 109,000 108,100 107,200 106,300 105,400 104,500 103,600 102,700 101,800 100,900 2,189,000
5,000,000 272,500 270,250 268,000 265,750 263,500 261,250 259,000 256,750 254,500 252,250 5,472,500
8,000,000 436,000 432,400 428,800 425,200 421,600 418,000 414,400 410,800 407,200 403,600 8,756,000
10,000,000 545,000 540,500 536,000 531,500 527,000 522,500 518,000 513,500 509,000 504,500 10,945,000
20,000,000 1,090,000 1,081,000 1,072,000 1,063,000 1,054,000 1,045,000 1,036,000 1,027,000 1,018,000 1,009,000 21,890,000
30,000,000 1,635,000 1,621,500 1,608,000 1,594,500 1,581,000 1,567,500 1,554,000 1,540,500 1,527,000 1,513,500 32,835,000
40,000,000 2,180,000 2,162,000 2,144,000 2,126,000 2,108,000 2,090,000 2,072,000 2,054,000 2,036,000 2,018,000 43,780,000
50,000,000 2,725,000 2,702,500 2,680,000 2,657,500 2,635,000 2,612,500 2,590,000 2,567,500 2,545,000 2,522,500 54,725,000

利子税の計算方法

例えば不動産割合が50%以上のとき、500万円の相続税を10年間で返済する場合について考えてみます。

500万円を10年間なので、500万円÷10年間=50万円
→1年間で50万円ずつ返済していくことになります。

この50万円に、その時の延納特例基準割合によって変動する金利を加算した額が返済額の合計です。

・1年目 50万円+(500万円×0.9%)=返済額

・2年目 50万円+(450万円×その時の利子税率)=返済額

・3年目 50万円+(400万円×その時の利子税率)=返済額

・4年目 50万円+(350万円×その時の利子税率)=返済額
  ・
  ・
  ・

↑利子税はその時残っている延納した金額の残高にかかるので、上記の例では延納残金は毎年50万円ずつ減っていきます。

延納すると固定資産税など不動産の維持費もかかる

延納と売却、どちらが得か?を計算する際、今売却した場合の金額と利子税・維持費を比較し、有利な方を選択するという流れになりますが、上記グラフにもあるとおり延納申請は年々減少傾向にあります。

平成25年度は1,300件ほどしか延納申請されていません。延納するということは、不動産をそのまま持ち続けるということです。当然毎年の延納返済額プラス、固定資産税、修繕費等がかかります。

その不動産からよほどの収益が発生している場合を除き、延納よりも売却、と考えるのもやむを得ない現状があります。

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